子どもが風邪!薬は必要?

もっとも日常的な病のひとつといってもいい「風邪」。たしかにこじらせると重篤な症状に発展してしまうこともあります。ただ、風邪は「風邪」という病ではなく、複数の細菌、ウイルスによる複合的な症状です。

実は「風邪」に対する特効薬というものはありません。「熱が出る」ということ自体が、すでに「身体」が、それらの身体に侵入したウイルスや細菌に対して戦いを挑んでいる証であり、それらに汚染された身体をどうにかして回復させようと試みている証拠でもあります。確かに風邪の諸症状というものは辛いものです。古来風邪に対する民間療法なども確立されているもので、主に免疫力、抵抗力を増強する手段が有効とされています。

風邪のほとんどは「ウイルス」によるものです。それらのウイルスは特定された何かではなく、複合的な「何か」です。特定のウイルスに対する有効手段というものは実はあまり存在せず、細菌由来の風邪も実は少ないため、よく耳にする「抗生物質」という医薬品もあまり有効には作用しません。市販の風邪薬は、特に大人用のものであれば、一時的に風邪の諸症状を緩和するためのものばかりであり、ウイルス自体を撃滅するような効果は持っていません。

結局のところ、「風邪」という病は身体の抵抗力が問われるものであり、身体の抵抗力は基礎的な体力と同様に「鍛える」ものでしかありません。もちろん、風邪に効くビタミンを始めとした栄養を補給することも重要ですが、実は「治療薬」で即効的に完治するようなものではないのです。

子どもはよく風邪をひきます。正確には風邪に罹りやすい子どもとそうではない子どもがいます。それは体質によるものでもあり、家庭環境における生活習慣にもよるものかもしれません。特に昨今では「外で遊ぶ」ということが大変少なくなっています。少し前なら「子どもは風の子」といわれるほど、寒くても暑くても外で遊んでいたものですが、現在ではなかなかそのような習慣もなくなってきてしまっているようです。

ひとつは私たち大人が「過保護」になりつつあるということが挙げられるかもしれません。それは進行しつつある少子化と相まって、子どもに対して過剰な心配と世話を焼くようになってしまっているからかもしれません。「近所の怖いおじさん」などの「地域」の存在は現在ではただ「怪しい人」という括りになってしまっているものです。それが良いことなのか悪いことなのか、それはその時代の人が決めることであり、決して懐古的であることが良いことであるとは限りませんが、相対的な子どもの体力が低下しつつあるということは事実として挙げられます。

子どもは怪我をしながら、病気をしながら成長するものです。自分が子どもだった頃のことを思い出してみましょう。沢山遊んで、たくさん怪我をして、それでもまだ遊びたいと願っていたのではないでしょうか。風邪をひく暇もないほど、沢山の「楽しいこと」が周りに満ち満ちていたのではないでしょうか。今の子どもたちにそれがないとは言いませんが、確実に子どもが遊べる環境、外で楽しく過ごせる基盤が失われつつあるのではないでしょうか。そんな時代の子どもの「風邪」。親が深刻に捉えすぎているということはないでしょうか。病院で診断を受けても、明らかに風邪であるのであれば、それは治療薬ではなく、子ども本人の回復力に頼るしかないことなのです。

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